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岡本安晴(著)

「統計学を学ぶための数学入門[下]:データ分析に活かす」

培風館,2009

ISBN 978-4-563-01005-8

本体定価は2000円ですが、中身は濃い。

高校で数学を十分に学ぶ機会のなかった人向けに上巻も用意した。

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Visual C++サンプルプログラム


「はじめに」より

 数学にも理論と応用という2つの側面がある。数学の応用とは、科学的事実あるいは真実を記述するための言語としての数学を用いるということである。例えば、物理学は、数学によって語られる。言語としての数学は、事実とか真理の認識がその広がりと深化に伴い変化すると、その変化に合わせて、記述のための言語としての数学の方にも変化が必要になる。これは言語一般に共通の現象である。言語の方から一方的に事実あるいは真理に対して枠が強要されると弊害が生じる。既に構築された数学が進化した認識に対応しきれていないときは、数学を言語として用いている使用者が一時的に便宜的な数学を作り出すことがあるが、これは後に数学者によって数学としての完成が目指されるものである。

 さて本書は、統計学を語るための言語としての数学を読者が直感的に理解することを目的として用意されたものである。言語として使いこなすためには、直感的に理解できていることが必要である。本書における「証明」は、この直感的理解を助けることを目的としている。読者が証明における論理的あるいは形式的厳密さを求めるときは、他の専門書を参照して欲しい。

 上巻では、大学入学までに十分に数学を学習する機会のなかった読者を対象として、統計学入門としての初歩的な考え方・事項の学習に必要な数学について解説した。本書は、数学を言語として用いて統計学的分析などのデータ分析法について学習を進め、研究を行うことを目指している読者を対象とするものである。この意味で、数学的な厳密さよりも数学を言語として使う上での理解を深めることを目的として本書も書かれている。また、今日では数学を言語として語られたことをデータに即して解釈する上でコンピュータによる分析は必須のこととなりつつある。本書の内容に関係するC++サンプルプログラムを筆者のホームページ<このページ>に用意した。

 本書は、行列に関すること、微分積分に関すること、および確率に関することの3部構成とした。・・・<以下続く>


目 次

1章   行列の基礎概念

1.1 行列とベクトル  1.2 行列の加減算  1.3 転置行列  1.4 内積  1.5 行列の積  1.6 分割行列と小行列  1.7 vec演算子  1.8 直積  1.9 トレース  1.10 行列の階数  1.11 ノルム

2章 逆行列・一般逆行列

  2.1 逆行列  2.2 一般逆行列

3章 行列式

  3.1 置換  3.2 行列式  3.3 行列式の性質  3.4 掃き出し法による行列式の計算

4章 固有値と特異値

  4.1 固有値と固有ベクトル  4.2 正方行列の正値・負値  4.3 コレスキー分解  4.4 特異値分解  4.5 ムーア・ペンローズ逆行列の計算

5章 行列と線形写像

  5.1 ベクトル空間  5.2 内積とノルム  5.3 線形写像/1次写像  5.4 基底  5.5 線形写像と行列  5.6 射影  5.7 正射影の例――主成分分析  5.8 行列式と線形写像

6章 微分

  6.1 微分の定義  6.2 平均値定理  6.3 極大値・極小値と微分  6.4 単調関数  6.5 テイラーの公式  6.6 方程式の根の数値計算  6.7 多変数関数の微分――偏微分  6.8 ラグランジュ乗数法  6.9 合成関数の偏微分  6.10 偏導関数を要素とする行列と行列式

7章 ベクトル・行列関数の微分表記

  7.1 ベクトルによる微分表記  7.2 行列による微分表記  7.3 低ランク行列による近似  7.4 対称行列の低ランクの行列の積による近似

8章 積分

  8.1 積分の定義  8.2 微分積分法の基本定理  8.3 部分積分  8.4 多重積分  8.5 多重積分の変数変換  8.6 積分の数値計算――ガウス・ルジャンドルの積分公式と適応的方法

9章 確率

  9.1 確率の基礎概念  9.2 条件つき確率と独立  9.3 確率変数と期待値  9.4 標本点が実数の場合  9.5 期待値  9.6 確率不等式・大数の法則・中心極限定理  9.7 積率母関数と特性関数  9.8 多次元確率変数  9.9 条件つき密度関数と条件つき期待値  9.10 確率過程  9.11 マルコフ連鎖  9.12 確率モデルによるデータ分析(モーメント法、最尤法、ベイズ的分析)

 

 

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