集 合
このページの改訂版を
岡本安晴「統計学を学ぶための数学入門[上]」2008、培風館
に含めた。さらに進んだ内容を扱うものとして
岡本安晴「統計学を学ぶための数学入門「下」」2009、培風館
を上梓した。
1.定義
ものの集まりを集合(set)と呼ぶ。ものとしては、世の中のあらゆるものというように、その範囲が曖昧なものは集合では扱わない。集合に含まれているものをその集合の要素あるいは元(element)と呼ぶ。要素を
、・・・、
で表したとき、それらを集めた集合は、その要素をコンマで区切って並べたものを{ }で囲んで
![]()
と表す。上の集合を
で表すと
![]()
と書ける。上式における等号は左辺の集合と右辺の集合が同じ(含まれる要素が同じ)であることを表す。
ある集合の要素から一部を選んで集めた集合を元の集合の部分集合(subset)という。いま、集合
を1から9までの自然数を要素とする集合
![]()
とするとき、この集合
から奇数を集めた集合
![]()
は
の部分集合である。このとき、
の元はすべて
に含まれる。このことを
![]()
と表し、
は
に含まれる、
は
を含むなどという。
記号
は左辺の集合の要素がすべて右辺の集合の要素であることを表すものなので、
![]()
と書くこともできる。
集合
![]()
の元15は集合
には含まれない。すなわち、「
」が成り立たない。このことを
![]()
と表す。
式(1.1)の集合
において
がその要素であることを
![]()
と表し、
は
に属する(belong)、
は
に含まれる、あるいは
が
を含む又は包含する(contain)という。集合の元でないことは
![]()
のように表す。
集合
が
に含まれることは
(1.2)
「
ならば
である。」
ということである(定義)。
いま、元を1つももたない集合を考え、これを
![]()
で表し、空集合(empty set, null set)と呼ぶ。すなわち、
![]()
である。
このとき、任意の集合
に対して
「
ならば
である」
が成り立つ。したがって
![]()
である。すなわち、空集合
は任意の集合の部分集合である。
集合
が集合
を含み、
の元であって
の元でないものがあるとき、
は
の真部分集合(proper subset)であるといい、
![]()
と書くことがある。
と
を区別せずに、ともに
で表されることもある。
式(1.1)の集合
の場合、
個の要素が含まれている。部分集合において、各要素
について含まれる含まれないの2通りの可能性があるので、部分集合の数は
個あることがわかる。どの要素も含まない部分集合は空集合
であり、すべての要素を含むものは集合
になる。空集合
も集合
もいずれも集合
の部分集合とみなす。集合
の部分集合全体からなる集合を
のべき集合(power set)と呼び、
あるいは![]()
と表す。すなわち、
![]()
である。ここで、
![]()
は、条件「
」を満たす部分集合
を要素として集めた集合を表す。一般に、
![]()
は、条件「
についての条件」を満たす
を要素としてすべて集めた集合を表す。
問題1.1
ある動物園に飼われている動物がトラと孔雀であったとする。この動物園に飼われている動物を要素とする集合を
とおくとき、
を求めよ。
2.演算
集合
と
の要素を併せた集合を
と
の和集合(sum)あるいは合併集合(union, join)と呼び
で表す。すなわち、
![]()
である。
例2.1
、 ![]()
のとき
![]()
である。
集合
および
にともに含まれる要素を集めた集合を
と
の積集合(product)あるいは共通部分(intersection, meet)と呼び
で表す。すなわち、
![]()
である。
例2.2
、 ![]()
のとき
![]()
である。
集合
から
の要素を除いた集合を
あるいは
で表す。すなわち、
![]()
である。
(あるいは、
)を
に対する
の補集合(complementary set, complement)、または差集合(difference set)という。
例2.3
、 ![]()
のとき
![]()
である。
いま、ある集合
を固定してその中で考えるとする。このとき、
の部分集合
をとったとき、
を単に
の補集合と呼び
で表す。すなわち、
![]()
である。ここで、条件「
」において「
」は暗黙の前提として置かれている。
例2.4
整数の中で考えるとき、
![]()
とおけば
![]()
である。
問題2.1
ある動物園で飼育されている動物が牛、トラ、ワニ、鷲であったとする。この動物園で飼われている動物を要素とする集合を
とおく。さらに、
、 ![]()
とおくとき、
、
、
、
、 ![]()
を求めよ。
解 答
問題1.1
部分集合は、{トラ、孔雀}、{トラ}、{孔雀}、
{ }である。すなわち、
={{トラ、孔雀}、{トラ}、{孔雀}、{ }}
である。
問題2.1
、
、
![]()
であるので、
、
、
、
、
![]()
となる。
参考文献
(1)日本数学会編集「岩波数学辞典第3版」岩波書店、1985.