死に対する態度尺度の分析
共分散構造分析(Amos)による因子構造の確認
河合ら(1996)の「死に対する態度尺度」の分析を行った。質問紙を堀(2001)に記載されている項目によって作成したため項目数が20項目となった。河合らでは21項目であるが、堀では下位尺度「中立的受容」の項目の1つが抜け落ちていることが分析のときに判明した。20項目について因子分析を行うと、下図のスクリープロットを得た。4因子構造が確認できそうである。

因子数を4としたときのパターン行列は次の表のようになった。

一応、文献に示されている下位尺度のグループごとに各項目の負荷量のパターンが似ているようであるが、dap10の負荷量が、同じ下位尺度グループのdap8,9,11と異なっているように見える。
クラスター分析を行うと、下図の結果となった。
* * * * * * H
I E R A R C H I C A L C L U S T E
R A N A L Y S I S * * * * * *
Rescaled Distance Cluster Combine
C A S E 0
5
10
15 20 25
Label Num
+---------+---------+---------+---------+---------+
dap9
4 òûòø
dap8
7 ò÷ ùòòòòòòòòòø
dap11 9 òòò÷
ó
dap20 1 òø
ùòòòòòòòòòø
dap17 13 òôòø
ó
ó
dap15 11 ò÷ ùòòòòòòòòò÷
ó
dap16 20 òòò÷
ùòòòòòòòòòòòòòòòòòòòòòòòòòø
dap19 17 òûòòòø
ó
ó
dap18 18 ò÷ ùòòòø
ó
ó
dap13 15 òòòòò÷ ùòòòòòòòòòòòòò÷
ó
dap12 10 òòòòòûòòò÷
ó
dap14 16 òòòòò÷
ó
dap10 6 òòòòòòòûòòòòòø
ó
dap2
8 òòòòòòò÷ ó
ó
dap3 12 òòòø
ùòòòòòòòòòòòòòòòòòòòòòòòòòòòòòòòòòòò÷
dap4 19 òòòôòòòòòø ó
dap7
5 òòò÷ ùòòò÷
dap6
2 òòòòòûòòòú
dap5
3 òòòòò÷ ó
dap1 14 òòòòòòòòò÷
dat10を除いて、大体下位尺度の項目同士でまとまっているようである。
以上の結果を踏まえて、項目dat10を除いて、河合ら(1996)および堀(2001)で説明されている因子構造が認められるかどうかを確認的因子分析法によって調べることにする。まず、Amos 5 によって、文献に示されている因子構造を下図のパス図で表した。

このときの適合度は、p値=0.000(
、df=146、)、CFI=0.782、RMSEA=0.090、であった。CFIを0.95以上、RMSEAを0.05以下にするべく(狩野ら、2003、p.141)、また、p値が5%以上になるように工夫する。まず、実質科学的意味に留意しながら修正指数に基づいて追加するパスを決める。また、パラメタ推定値の検定統計量のp値から削除するパスを選ぶ。これらの操作を繰り返して下図の結果を得た。

この場合の適合度は、p値=0.066(
、df=132)、CFI=0.962、RMSEA=0.039となった。p値は5%以上で非有意であり、CFIとRMSEAは狩野ら(2003)の基準を満たしている。この結果に基づいて下位尺度を構成する項目を選ぶ。
下位尺度「死の恐怖(F1)」の測定項目のうち、DAP1とDAP7は他の因子(F2あるいはF4)からのパスもあるので除き、DAP2、DAP3、DAP4、DAP5、DAP6の5項目で死の恐怖尺度を構成した。このときの信頼性係数はα=0.736であった。
下位尺度「積極的受容(F2)」および「中立的受容(F3)」の測定項目は、それぞれ3項目すべてを採用する。「積極的受容」の信頼性係数はα=0.741、「中立的受容」の信頼性係数はα=0.322であった。
下位尺度「回避的受容(F4)」は、他の因子からのパスがある項目を除き、DAP15、DAP16、DAP17の3項目を採用する。信頼性係数はα=0.789であった。
信頼性係数の低い中立的受容の尺度は除き、他の3下位尺度を死に対する態度尺度として用いることにする。尺度値は偏差値で表し、死の恐怖尺度DAPFR、積極的受容尺度DAPPOS、回避的受容尺度DAPAVDと呼ぶことにする。
各尺度のヒストグラムは下図のようになった。DAPPOSとDAPAVDにおいて分布に偏りが見られるのは、質問紙の回答者が大学生であったことによると考えられる。

参考文献
河合千恵子、下仲順子、中里克治「老年期における死に対する態度」老年社会科学、1996、107−116.
堀洋道(監修)、吉田富二雄(編)「心理測定尺度集U」サイエンス社、2001.
狩野裕、三浦麻子「グラフィカル多変量解析」現代数学社、2003(増補版)