情報技術を活用したレポートの構成・作成法
[情報関連授業]|[参考リンク集]
1 レポートの構成
- 一般的なレポートの構成法
- 調査・実験レポートの構成法
- 「目的」の書き方
- 「方法」の書き方
- 「結果」の書き方と図表による表現法
- 「考察」の進め方と書き方
2 レポートの文章
- 論理的でわかりやすい文章を書くには
- 参考文献、参考資料からの引用の仕方
3 レポートの校正と改善
- Wordによる文書校正
- レポートの評価のしかた
1 レポートの構成
レポートや論文などの論理的文章を書く場合、読み手(または出題者)に読みやすいよう、前もって文章の構成や展開を組み立てておく必要がある。
レポートは、一般的に、図1のような構成で書く。

図1 一般的なレポートの構成
★序論(はじめに)の役割
- 導入の役割を果たす部分
- 取り上げる問題(テーマ)は何か具体的に示す。
- 書き出しの部分で、これから述べる意見の発端、目的を示す。 → 問題提起
- テーマとして取り上げる論拠として、背景となる先行研究を紹介しておく。
- 論じるのに必要な前提の情報を、その分野に知識のない読み手にもわかるように説明する。
- 読み手が全体を円滑に意欲的に読み進めることができるためのガイドとなる指針を説明する。
★本論の役割
- 結論を支える役割を果たす部分
- 序論から結論を導き出す。
- 事実(調べたこと、データ、結果)を用いて論拠を示し、なぜ、そのような結論になるのかを論理的に説明し証明する。 → 意見の記述
- 反論や批評を予想し、あらゆる角度から論拠・根拠を述べ、読み手を論破・説得する。
★結論(結び、まとめ)の役割
- まとめの役割を果たす部分
- 全体の内容をざっと概観し確認する。
- 意見を締めくくる。
- 中心テーマ(意見、主題)をアピールする。
- 序論で述べた目的と必ず呼応し、密接に整合していなければならない。
- 今後の展望で、書いた内容の成果に基づき、それを足がかりとして、将来(次の段階)、何をしたらよいかを示す。
[目次]
調査や実験などによる実証的なデータに基づくレポートは、一般に図2のような構成で書く。
今回のテスト結果を報告するレポートについては、この構成で作成する。

図2 調査・実験レポートの構成
構成・展開についての考え方は、一般的なレポートと同じである。
調査・実験結果を報告する場合、次の点が重要である。
- 何のために調査や実験、テストを実施したのか、目的を明確に書く。
- これまで、同様の観点で、どのような研究や調査・実験がなされているのかについて、関連の文献、資料、情報を検索して、内容を整理する。
- 方法(調査、実験、テストなどの手続き)を順序よく説明する。
- 結果は、必要であればデータを図表にまとめて示し、誰が見てもわかるように書く。
- 目的にそった結果が得られたか、または得られなかったのか、得られなかったとしたらどのような理由が考えられるかなどを考察し論ずる。
表紙 → 目的 → 方法 → 結果 → 考察(まとめ) → 参考文献・参考Webサイト
レポートは、特に指定がない場合、A4用紙縦で作成する。ページ設定は、1行の文字数、1ページの行数とも、設定数40〜45が読みやすく、フォントサイズは10-11ポイント、本文のフォントは明朝体がよい。タイトル、章などの見出しのフォントは、ゴシック体にしたり、サイズをやや大きくして、見やすいようにする。
ある程度長いレポートであれば、章立てするが、短いレポート(A41ページ程度)であれば、段落・パラグラフ単位で構成してもよい。
表紙の書き方
レポートや卒業論文を提出する場合、本文の前に、必ず、次のような体裁で表紙をつける。
レポートの本文は、全体にわたって、簡潔でわかりやすい文章と必要に応じて表やグラフを用いて記述する。
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「目的」では、読み手に対して、これから、どのような目的で何を主張し、どのような観点で読み進めたらよいかの背景とガイドラインを提供する。
課題レポートの読み手は、出題者(教員)であることがほとんどであるが、本来、その事柄(テーマ)について、全く何も知らない読み手にも理解できるように書くことが必要である。
この課題では、「目的」という章タイトルで、次のような観点に基づいて書き始めるとよい。
「目的」に書く内容
- 目的 の章見出しを付ける。
- 問題点を提起し、具体的な目的(テーマ)を記述する。
- この課題に関連して、これまで実施されてきた実態や研究されてきた成果などを調べて紹介し、この報告にいたった動機を記述する。
- 事前にどのような結果が予測されるか(これを「仮説」という)、その結果を導くには、どのような方法で結果を処理し確認したらよいかの見通し(仮説の検証法)を記述する。
- このレポートを、これからどのような構成や順序で書き進めるか、読み手にわかるように簡潔に述べておく。
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「方法」では、被験者・被調査者、調査・実験、テストの内容、具体的な手続きを、次の項目に分けて書く。
この調査やテストの内容を知らない読み手が、調査や実験、テストの手続きを再現できるよう、正確かつ簡潔に説明する必要がある。
「方法」に書く内容
- 方法 の章見出しを付ける。
- 次の小見出しのようなカテゴリに分け、それぞれについて、具体的に文章で説明する。調査や実験の内容によって、どのような見出しで説明したらよいか、適宜、考える。
- 被験者(調査の場合は、被調査者)
- 実施日(調査・実験日)
- 実施材料(テストや実験に使った材料、調査内容)
- 実施手続き
- 結果の処理法
被験者
被験者とは、テストや実験を受け、データの分析や報告の対象となった人のことである。その対象者の所属、プロフィール、性別、年齢構成(平均年齢)、人数などを正確に記述する。ただし、個人名は、数値データとして扱ったりプライバシーへの配慮などから、通常、記載しない。対象が、動物の場合は「被験体」、調査の場合は「被調査者」という。
実施日
テストや調査・実験を実施した日時や場所などの実施状況を、具体的に記述する。
実施材料
実施に用いた材料やソフト、装置や器具について、具体的に説明し記述する。材料や装置は、自作したものか、他で作成したものを利用したのかなどについて記載する。特に、他で作成したものの場合、どこの何を利用したかなどの出所や出典(どの書籍や資料に出ていたかなど)を正確に記載する。
実施手続き
この記述は、大変、重要である。実施した方法あるいは手続きについて、時間順序にそって正確に記述する。手続きが複雑な場合などは、箇条書きや図表を用いて説明してもよい。
結果の処理法
目的にそって、データをどのように集計し処理して結果に導くかの方針を記述する。特に、利用した集計や統計の手法や利用ソフトウェアなどを具体的に書く。
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「結果」の本文は、文章で説明するのが基本である。ただし、文章だけでは説明しにくかったり、よりよい説明のために、データを処理した結果の図表やグラフを補助資料として参照しながら説明すると、よりわかりやすく有効である。
「結果」に書く内容
- 結果 の章見出しを付ける。
- 結果から言えること(=事実。結果として得られた計算結果や数値、統計的な検討結果など)と、結果から推測されること(=意見。予測、推論など)の記述を区別する。
- 「結果」は、「事実」を中心に記述する。
結果を表現するのに次の方法が考えられるが、書き手が、どのような場合にどの方法を選択するかを判断することは、読み手にとっていかに理解しやすいかに関わるので、重要である。
- 文章で説明する
- 表を参照して説明する
- 図やグラフを用いて説明する
レポートや論文の中で、本文中で図表やグラフを参照する場合の書き方には約束事がある。
→ レポートにおける図表やグラフの参照のしかた
実際に、レポート文書の中に作成した図表を挿入するには、情報技術を活用すると有効である。
→ Excelの図表をWord文書へコピーする方法
- どのような統計処理を行ったのか
- 統計処理によって見出された結果 ※記載順序を工夫する
- 最も主要な研究目的や仮説に関連する中心的結果の記述から始め,周辺的・付加的結果はその後に書く。
- 関連するデータはひとまとめにして示す。
- 自分にとって都合が悪いからといって,仮説に反する結果を隠してはならない。
- 表やグラフを上手に利用する
<統計的検定の結果を書くときの注意点>
例1) χ2(3)=33.82(p<.01)となり,娘世代が母世代よりも多いのは大学・大学院卒で,それ以外の学歴は,母世代が娘世代よりも多かった。
例2) 「外向性点」の生活リズムの違いでの平均値の比較をしたところ,朝型の平均値は15.56(SD=4.25),夜型の平均値は11.91(SD=5.07)であった。t検定の結果,朝型と夜型の生活リズムの違いで外向性点が異なるとは言えなかった(t(18)=1.72, n.s.)。
一般的に必要とされる情報は,@統計の種類 A自由度 B計算された統計値 C有意水準
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「考察」には、結果で得られたことを根拠として、「目的」で予測した内容や仮説が、結果として得られているかを見極め判断し、その内容を論理的に「意見」として述べることが必要である。ただ、単に思ったことや感じたことを「感想」として述べてはいけない。
また、目的にそった結果が得られなかったとしたら、その理由や原因が何であるかも考え、その内容も簡潔でわかりやすく記述する。
さらに、この報告した内容に関して、今後の検討課題や新たに発見した問題、発展可能性を論ずる。
「考察」に書く内容
- 考察 の章見出しを付ける。
- 全体のまとめ(総括)
- 結果から推測されること。(意見、予測)
- 「目的」で仮定したり予測したりした結果が得られたかどうか。(得られたならアピールする)
- 予測した結果が得られなかったとしたら、その原因や理由は何か。
- 今後の検討課題や展望は何か。
[目次]
2 レポートの文章
レポートの文章は、論理的でわかりやすく書かなければならない。次の書き方やルールを守って書くように心がけるとよい。
- 誤字・脱字がないように気をつける。
- 論理的でわかりやすく読みやすく書く。
- 正しい日本語で書く。
- 表記や用語を統一する。
- 文体は「だ、である」調で書く。
- 1文は長くならず短くし、多くの内容を盛り込まず、なるべく1つの内容について限定して書く。(1センテンス1ミーニングの原則)
- 段落・パラグラフ構成を守る。段落・パラグラフが変わるとことで改行し、新しい段落の最初は、1文字分ブランクを空ける。1つの段落・パラグラフには、1つの話題(トピック)を述べ、2文以上でまとめる。(1パラグラフ1トピックの原則)
- 図表を有効に活用する。
- 図表は、表示の約束事(図表番号、タイトル、軸ラベル、凡例を付けるなど)を守る。
- 説明を省略しないで書く。しかし、あまり詳しすぎても読みにくい。読み手に合わせて適切に書く
- 事実と意見を区別する。
- 感想でなく、意見を書く。
- 自分の意見か、他の文献、参考サイトにある見解からの引用かが、読み手にわかるように書く。 → 「○○で述べているように・・・」「・・・・(○○参照)」などのように明記する。
- 最後に、レポート文章中で引用したり参考にした文献、資料、Webサイトのリストを載せる。
- 正式の書き方があるので、自分で調べること。
- 最近、資料の収集がWebサイトの情報に偏っている傾向が見られるが、必ず、文献にも当たること。
参考文献の書き方(明治大学戸村先生のページ)
[目次]
3 レポートの校正・改善
改 善 す る 視 点(評 価 項 目) |
評価 |
コメント |
1 |
目的 → 方法 → 結果 → 考察 → 参考文献 の構成で書く。 |
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2 |
誤字・脱字がないように書く。 |
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3 |
論理的でわかりやすく読みやすく書く。 |
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4 |
表記や用語を統一する。 |
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5 |
文体は「だ」「である」調で書く。 |
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6 |
説明には図表やグラフを有効に活用する。 |
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7 |
感想でなく、意見を書く。 |
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8 |
図表やグラフでは、図表番号とタイトル、特にグラフの場合は各軸のラベルや凡例などの要素をもれなく入れる。 |
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9 |
グラフ、表、図で結果を説明する場合は、重複するので文章での説明は書かない。 |
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10 |
方法や結果の説明は、過不足なく簡潔に書く。 |
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11 |
事実と意見を区別して書く。 |
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12 |
1文はあまり長くならないようにして多くの内容を盛り込まず、1つの内容に限定して書く。 |
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13 |
段落・パラグラフの構成を守り、新しい段落の最初で1行改行して、1文字分空白を空ける。 |
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14 |
1つの段落・パラグラフ内では、できるだけ1つの話題(トピック)を述べ、2文以上書く。 |
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15 |
自分の意見か、他の文献、参考サイトからの引用か、読み手にわかるように書く。 |
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[目次]
[情報関連授業] | [参考リンク集]