t検定のプログラムの使い方
女子の数学の点数と男子の数学の点数のデータの場合、ある女子の点数とある男子の点数とが対として対応付けられているのではなく、女子の点数と男子の点数はお互いに独立に集められたと考えられる。このように考えてよいときは、対応のないデータとして次のように確率モデルが設定される。
確率変数
、…、
が、それぞれ平均
、分散
の正規分布
に従い、確率変数
、…、
が、それぞれ平均
、分散
の正規分布
に従うとする。それらがお互いに独立であるとき、統計量Tを次のように算出する。
(1)
ここで、
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である。
式(1)で与えられる統計量Tは、自由度
のt分布に従う。したがって、信頼係数
の信頼区間を、次のように設定することができる。
まず、自由度
のt分布に対して、次式を満たす
を求める。
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上式におけるtを、式(1)のTに置き換えて、次のように変形する。
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上式より、信頼係数
の信頼区間は次のように与えられる。
(2)
式(2)で与えられる信頼区間に0.0が含まれないとき、式(1)において
とおいた統計量Tの値が、両側検定における有意水準
の棄却域
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に入ることが導かれる。すなわち、このとき有意水準
で帰無仮説「
」は棄却される。信頼区間に0.0が含まれるときは、帰無仮説は棄却されない。
プログラムPEstDiffIndep.dprは、対応のないデータの場合の平均の差の区間推定を行うものである。このプログラムを実行すると図1のフォームが表示される。

図1 起動時のフォーム
対応のないデータの分析なので、左側と右側の2つのデータ設定用StringGrid、及びそれぞれのStringGridについて独立に行数を設定するための「追加」ボタンと「削除」ボタンが用意されている。「追加」ボタンをクリックするとアクティブなセルの下に新しく行が挿入・追加される。セルは、そのセル内をクリックするとアクティブになる。「削除」ボタンをクリックすると、アクティブなセルを含む行が削除される。
設定したデータは、「保存」ボタンをクリックすることによりファイルに保存することができる。ファイルに保存したデータは、「読出」ボタンのクリックによりStringGrid内に読み込むことができる。
「印刷」ボタンをクリックすると、設定されているデータがプリンタに出力される。
図2のようにデータを設定後、「計算」ボタンをクリックすると平均値の差の区間推定の計算が始る。データは空白のセルがないようにし、余分なセルがあれば「削除」ボタンをクリックして削除しておく。信頼係数は、必要な値を設定しておく。信頼係数のデフォルト値は95%である。

図2 データの設定
「計算」ボタンをクリックすると、まず図3のダイアログボックスが表示される。

図3 計算結果出力用ファイル名の設定
ファイル名の設定後、「開く」ボタンをクリックすると計算が始る。計算結果は、図3で設定した名前のファイルにテキストファイルとして書き出されるので、プログラムの実行終了後、エディタなどで開いて見ることができる。
計算が終了すると、図4のように「計算を終了しました」のメッセージがフォームに表示される。

図4 計算終了時のフォーム
「終了」ボタンのクリックでプログラムの実行終了となる。
図2のデータの場合、計算結果出力用ファイルにはリスト1のように出力されている。
リスト1 計算結果の例
|
データ = x[1] = 80.00 x[2] = 71.00 x[3] = 71.00 x[4] = 66.00 x[5] = 78.00 x[6] = 84.00 x[7] = 72.00 x[8] = 82.00 x[9] = 74.00 x[10] = 72.00 x[11] = 66.00 x[12] = 73.00 y[1] = 66.00 y[2] = 75.00 y[3] = 64.00 y[4] = 73.00 y[5] = 68.00 y[6] = 71.00 y[7] = 81.00 y[8] = 70.00 y[9] = 76.00 y[10] = 72.00 Xの平均 = 74.08
Xの標準偏差 = 5.56 Yの平均 = 71.60
Yの標準偏差 = 4.76 t = 1.061 自由度 = 20 平均値の差(X−Y)の信頼区間...-2.39773323 〜 7.36439989 信頼係数 = 95% |
リスト1では、信頼係数95%の信頼区間が
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であることが示されている。この区間は0.0を含むので、有意水準5%で平均値の差は認められないということになる。