現在日本は、世界に誇るマンガ大国である。その所以は、大人たちがマンガにどっぷりはまっていることが大きい。かつては子供のものだったアニメ番組は深夜放送が当たり前となり、マンガを原作とするドラマや映画が次々とヒットを飛ばしている。
戦後、日本のマンガが発展したのは、手塚治虫の登場、団塊世代という巨大マーケットの存在、そして大手出版社によるマンガの牽引が要因であると漫画家・弘兼憲史氏は指摘している。 そんな戦後に発展したマンガだが、大きく3つに分類される。
一つ目は「少年マンガ」と呼ばれる集英社『週刊少年ジャンプ』を筆頭とする小学生・中学生(社会人も当たり前に読んでいるので一概に子供のものとは言えない)ターゲットのマンガ。スポーツ、アドベンチャー、ギャグ、ラブコメなど幅広いジャンルで、「テニスの王子様」など女性読者層の支持も得ている。
二つ目は「少女マンガ」と呼ばれる集英社『りぼん』、講談社『なかよし』、小学館『ちゃお』などの小学生から中学生のローティーン向け、あるいは高校生・20代前後までのハイティーン向けのマンガ。近年は、「NANA」、「のだめカンタービレ」など大ヒットが続々登場した。こちらも単に読者層が「少女」に限られず学生・社会人層にも読まれるようになり、映画やアニメのヒットで男性の読者層も獲得しつつある。
最後になったが、三つ目が「青年コミック」だ。小学館『ビッグコミック』、『ビッグコミックスピリッツ』、講談社『ヤングマガジン』、『モーニング』、集英社『ヤングジャンプ』などが代表的な雑誌で単行本のサイズは少年・少女より一回り大きい。また、80年代から学生・OL・主婦をターゲットにした「レディスコミック」というジャンルも確立された。
この青年コミックは少年・少女マンガをかつて読んでいた世代に向けられて始まった、後発のジャンルである。これらの登場によってマンガは子供だけのものではなくなった。戦後マンガを幼いころから読み親しんで「マンガの読み方を自然に会得した」世代以降は大人になってもマンガを楽しむ。これこそが日本がマンガ大国である所以だ。
ジャンルの説明をやや細かく紹介してきたが、近年のマンガはどのジャンルも読者層の広がりを見せている。特に私は、男性がメインターゲットである青年コミック中心に読者層の垣根がなくなりつつあると感じている。これを「マンガのクロスオーバー化」と呼ぶことにする。
「マンガのクロスオーバー化」とはどういうことか。それは読者層にも言えるが、私は作者、漫画家に着目した。
2007年4月19日発行の『モーニング』18号。表紙は、本誌を代表するキャラクターがずらりと35名(?)並んでいる。