1990年代以降、青年誌(90年代以降ヤング誌・青年誌両方をあわせて“青年誌”と表記する)に女性作家が次々と登場し、女性作家が青年誌で連載を持つことはごく当たり前となった。
| 開始年 | 作家名 | 作品 | 掲載雑誌 |
|---|---|---|---|
| 91 | 柴田亜美 | 南国少年パプワくん | 月刊少年ガンガン |
| 92 | 松本太郎 | シーソー | モーニング |
| 92 | 南Q太 | TAKE THE A TRAIN | ワニマガジン |
| 93 | 山崎さやか | 群青 | ヤンマガ増刊 |
| 93 | 魚喃キリコ | hole | ガロ |
| 93 | 峰倉かずや | JUST!! | COMIC Genki |
| 94 | 二宮ひかる | あそぼゼ | ヤングアニマル |
| 94 | 高河ゆん | 超獣伝説ゲシュタルト | Gファンタジー |
| 95 | 柏木ハルコ | いぬ | ビッグコミック |
| 95 | 佐々木倫子 | おたんこナース | ヤングサンデー |
| 95 | 松田洋子 | 薫の秘話 | モーニング |
| 96 | 日本橋ヨヲコ | ノイズ・キャンセラー | ヤングマガジン |
| 97 | 中野純子 | ※青年デビュー作不詳 | ヤングジャンプ |
| 97 | 浅田寅ヲ | SPOONMAN 3.18(エム・エイ名義) | アフタヌーン |
| 97 | 志村貴子 | 敷居の十人 | ビームコミックス |
| 98 | 宇仁田ゆみ | VOICE | ヤングアニマル |
| 99 | 朔ユキ蔵 | 夢のような | メディアアックス |
| 99 | 三宅乱丈 | ぶっせん | モーニング |
| 99 | 岩館真理子 | 月と雲の間 | モーニング |
| 00 | 倉田真由美 | ほしまめ女学院 | ヤンマガ新人賞 |
| 00 | 安野モヨコ | 花とみつばち | ヤングマガジン |
| 01 | ひぐちアサ | 家族のそれから | アフタヌーン |
| 01 | 林田球 | ドロヘドロ | IKKI |
| 01 | CLAMP | ちょびっツ | ヤングマガジン |
| 03 | オノナツメ | LA QUINTA CAMERA | COMIC SEED! |
| 04 | ジョージ朝倉 | 平凡ポンチ | IKKI |
| 05 | 金田一蓮十郎 | ニコイチ | ヤングガンガン |
| 05 | 高津カリノ | WORKING! | ヤングガンガン |
| 05 | 瀧波ユカリ | 臨死!江古田ちゃん | アフタヌーン |
| 05 | 花津ハナヨ | CAとお呼び! | ビッグコミック |
| 06 | 東村アキコ | ひまわりっ ~健一レジェンド~ | モーニング |
| 07 | よしながふみ | きのう何食べた? | モーニング |
| 07 | 羽海野チカ | 3月のライオン(連載) | ヤングアニマル |
90年代は、ヤング誌だけでなく青年誌全体や雑誌の細分化に伴ってさらに“描ける場所”が増えたように思う。90年代以降の女性作家について、第三章の分類にさらに加えて、「青年デビュー型」・(「青年乗換え型」)→「少女経由型」、「ヤングレディス型」・「元ガロ型」・「ガンガン型」・「同人経由型」の6タイプに分類する。
それぞれのタイプの分析から、90年代以降の動向をまとめる。
| 開始年 | 作家名 | 作品 | 掲載雑誌 | その他代表作 |
|---|---|---|---|---|
| 92 | 松本太郎 | シーソー | モーニング | ストレイキャット |
| 93 | 山崎さやか | 群青 | ヤンマガ増刊 | はるか17 |
| 94 | 二宮ひかる | あそぼゼ | ヤングアニマル | ハネムーンサラダ |
| 95 | 柏木ハルコ | いぬ | ビッグコミック | 花園メリーゴーランド |
| 95 | 松田洋子 | 薫の秘話 | モーニング | まほおつかいミミッチ |
| 96 | 日本橋ヨヲコ | ノイズ・キャンセラー | ヤングマガジン | G戦場ヘヴンズドア |
| 98 | 宇仁田ゆみ | VOICE | ヤングアニマル | うさぎドロップ |
| 99 | 三宅乱丈 | ぶっせん | モーニング | ペット、秘密の新撰組 |
| 01 | ひぐちアサ | 家族のそれから | アフタヌーン | おおきく振りかぶって |
| 01 | 林田球 | ドロヘドロ | IKKI | 魔剣X ANOTHER |
| 05 | 高津カリノ | WORKING! | ヤングガンガン | ――――――― |
| 05 | 瀧波ユカリ | 臨死!江古田ちゃん | アフタヌーン | ――――――― |
次に「少女経由型」とは、「いきなり」型とは対照的に少女マンガでデビューをした作家を言う。80年代より、「少女経由型」はすでにいたことは第三章でも述べた。このタイプも90年代以降より柔軟に行われていると思われる。近年の具体例で言えば、少女マンガで大ヒットとなった「ハチミツとクローバー」作者の羽海野チカが2007年から『ヤングアニマル』で連載を始めている。
彼女たちが、若者・サラリーマン相手の青年誌からお呼びがかかるようになったのは、80年代のヤング誌創刊ブームの延長とも言える。しかしそれは、単に少女マンガやレディスコミックの評価が高まったわけではない。90年代以降の女性作家の活躍は、より複合的な要素が集まった賜物である。
| 開始年 | 作家名 | 作品 | 掲載雑誌 | その他代表作 |
|---|---|---|---|---|
| 95 | 佐々木倫子 | おたんこナース | ヤングサンデー | 動物のお医者さん |
| 97 | 中野純子 | ※青年デビュー作不詳 | ヤングジャンプ | ちさ×ポン |
| 99 | 岩館真理子 | 月と雲の間 | モーニング | おいしい関係 |
| 00 | 安野モヨコ | 花とみつばち | ヤングマガジン | 働きマン |
| 01 | CLAMP | ちょびっツ | ヤングマガジン | xxxHoric、ツバサ |
| 04 | ジョージ朝倉 | 平凡ポンチ | IKKI | カラオケバカ一代 |
| 05 | 花津ハナヨ | CAとお呼び! | ビッグコミック | ※桜井明子名義で活動 |
| 06 | 東村アキコ | ひまわりっ~健一レジェンド~ | モーニング | きせかえユカちゃん |
| 07 | よしながふみ | きのう何食べた? | モーニング | 大奥 |
| 07 | 羽海野チカ | 3月のライオン(連載) | ヤングアニマル | ハチミツとクローバー |
まず、居場所がなかった岡崎たちがようやくリードできる場が誕生した。91年、レディスコミック誌『FEEL』の増刊として『FEEL YOUNG』が創刊される。ターゲットは10代後半から20代前半の女性である。この登場により、80年代までの、「少女」と「レディス」の隙間が埋まり、岡崎や桜沢が人気作家にのし上がる。女性の本音を描いたマンガがようやく市民権を得て、彼女たちの後には南Q太、安彦麻理絵、魚喃キリコなどが続く。また、それまで少女マンガで苦戦していた安野モヨコが、『FEEL YOUNG』に移り、「ハッピーマニア」を大ヒットさせる。居場所がなかった作家は岡崎たちだけではなかった。
ところで、ヤングレディス誌の最初は、実は『FEEL YOUNG』ではない。86年に創刊された集英社の『YOUNG YOU』という雑誌が、レディスコミック誌に初めて“young”という単語を使う。『YOUNG YOU』は既に出版されていた『月刊セブンティーン』の増刊で、若い女性向けおしゃれコミックの先駆的存在であった。が、しかし岡崎が入り込む余地がなかったのは、少女マンガ作家が多い為どうしても青年寄りの絵の岡崎作品は浮いてしまっていたのではないか。岡崎は、実は『FEEL YOUNG』ばかりに連載していたのではなく、90年代以降はかなり積極的に青年誌への掲載を続けていた。他方、桜沢は『FEEL YOUNG』創刊時から同誌に読みきりを発表している。岡崎は、実は描くところにはこだわりがあまりないのかもしれない。いや、描きたいものが描けるのなら、どこでも描きますというスタンスなのだろう。でなければ、わざわざエロコミック誌などに描いたりしない。
『FEEL YOUNG』の成功以降、新青年誌の女性版「ヤングレディス誌」が次々に創刊される。80年代の後半以降、少女マンガ誌およびレディスコミック誌の創刊・廃刊が繰り返されていたが、90年代以降はさらに激化した。その特徴としては、従来の少女マンガに比べターゲットが高年齢(ティーンから主婦層まで)にあること、ストーリーのジャンル別に雑誌が創刊されたこと(例、講談社『BE LOVEブライダル』、『BE LOVEミステリー』など)である。角川書店『ヤングロゼ』(90年)、宝島社『CUTiE COMIC』(97年)など人気作家が登場する雑誌も多かったが、いずれも短命に終わる傾向が強かった。また、ターゲット層の広がりによってどこからどこまでが「少女コミック」なのか、境目が非常に曖昧になってきている傾向にある。 『FEEL YOUNG』は現在(2008年2月現在)も発行されており、ヤングレディス誌を牽引している。
| 開始年 | 作家名 | 作品 | 掲載雑誌 | その他代表作 |
|---|---|---|---|---|
| 85 | 桜沢エリカ | ウーくんのソフト屋さん Special | 漫画カルメン | メイキン・ハッピィ |
| 89 | 安彦麻理絵 | おんなのこである条件 | ガロ | あたしのすべて |
| 92 | 南Q太 | TAKE THE A TRAIN | ワニマガジン | 夢の温度 |
| 93 | 魚喃キリコ | hole | ガロ | blue |
| 97 | 志村貴子 | 敷居の十人 | ビームコミックス | 青い花 |
| 00 | 安野モヨコ | 花とみつばち | ヤングマガジン | 働きマン |
| 07 | よしながふみ | きのう何食べた? | モーニング | 大奥※ |
| 07 | 羽海野チカ | 3月のライオン | ヤングアニマル | ハチミツとクローバー※ |
安野は現在、少女マンガではなく、「青年マンガ」家としての評価が高いが、デビューのきっかけは少女マンガだった。『別冊マーガレット』にて「全くイカしたやつらだぜ」でデビューした安野だったが、少女マンガ時代は描きたいものが描けずに悩んでいたとインタビューで語る。
『「彼とラブホ行ったけどなんか気まずい」とか、(中略)そういうことを少女マンガの恋愛として描きたかったんですけど、それはやっぱりボツになっちゃう。(中略)エンターテイメントをやるにしては力量が低すぎるし、自分でわかってて苦しいんですよ、(中略)もっと違うもの描きたい、って。」
かつてアシスタントをしていた岡崎からは、青年誌に行ってはどうかとアドバイスされたこともあっただが、「岡崎さんの二番煎じになっちゃうだろう、同じフィールドに出てもダメだろう」と少女マンガで戦うことを決意した。そんな安野がターニングポイントと語る「シナモンガール」(95年)は「青年誌と思って描いていい」と言う依頼だった。やはり安野の居場所は少女マンガではなかったのだ。
「シナモンガール」での好評を受け、安野は少女マンガ家として専属契約を打ち切る。独立後、最初に描いたのが「ハッピーマニア」(95年連載開始)であった。「ハッピーマニア」は単行本11冊に及ぶ代表作となった。その後「ジェリーインザメリィゴーラウンド」、「ラブ・マスターX」など発表。掲載誌は『FEEL YOUNG』、『CUTiE』、『YOUNG YOU』などいずれも女性向けのヤング誌で、映像化やエッセイ「美人画報」のヒットにより、女性マンガ家として着実に人気を得ていく。
女性誌で成功していた安野が、99年「花とみつばち」で念願の青年誌連載デビュー を果たす。雑誌は講談社の『ヤングマガジン』で女性の連載は今までほとんどない雑誌だった。安野は連載開始当初は「緊張した」と発言しており 、“畑の違い”を実感することとなる。連載そのものは4年続き、単行本で7冊となると一般的にはヒット作品と言える。だが、本人は「お客様気分」みたいなのがあって腰が引けていたと言う。 そのような態度が『ヤングマガジン』のようなメジャー誌では通用しなかったことを実感する。この点は、初期からヤング誌に連載していた柴門とは違って、苦悩していたことが窺える。勿論、柴門らが始めから全く苦労なく青年誌で描いていたわけではないだろう。しかし、柴門らが青年誌に“新卒入社”したのに対して、安野は“中途”で少女から“転職”したのだ。青年誌の空気や文化に慣れるのには多少時間を要した。
しかし一度腹をくくってからの安野は青年誌に真っ向から戦っていて、勝ち続けている。『イブニング』連載の「さくらん」(03年)、『モーニング』連載の「働きマン」(04年)、いずれも映像化される大ヒットとなった。さらに安野の底力を窺わせるのは、青年誌を連載しながら「描きたいものが描けな」かったはずの少女マンガの連載もしていたところだ。03年、50年以上も続く老舗少女マンガ誌『なかよし』に「シュガシュガルーン」を連載し、これもアニメ化される程人気となった。なぜ、あれほど青年誌でやりたかったのに、また少女のフィールドに戻って来たのか。安野は、「シュガシュガルーン」を描くに当たって、このように語っている。
『かわいいものが前から描きたかった!かわいい部屋とかかわいいお洋服とか、そういう夢のいっぱいなものを描くには、“魔法少女もの”かな、と。あと、子どもの時、感動したもの、好きなものをすごくよく覚えていて、そういう子どもの心の中に残る美しいものとかかわいいものを、読んでほしいなっていう気持ちもあって。(中略)いつも誤解されるんだけど、戦略的に、大人向けも子ども向けも描いて、全誌制覇を計画中だとかいうように。単純に、自分で「こういうものが描きたいなぁ」と浮かんだ時に、これだったら「なかよし」に載せてもらえるかなと考えて、それ以外には何も計算してないんです。その時描きたいものを表現できる、一番いい方法を選んでやっています。今回は「なかよし」に自分から描かせてほしいと話して、その仕事に集中しているだけです。』
かつてジャンルに縛られていた安野は、今や伝えたいメッセージによってジャンルを使い分けている。安野は、「昔は大人の人の漫画家が、子どものために描いている」と発言しているが、それは戦後間もない頃の、石森章太郎や手塚治虫、横山光輝のことだろう。彼かは少年漫画のみならず少女漫画でも活躍し、現在の少女マンガのスタイルを創像していく一翼を担っていた。安野は、親戚にマンガ家もいることもあり (叔父は黄桜のカッパの絵などの美人画で知られる小島功。)
、幼いころから萩尾望都、青池保子、つげ義春高野文子など多くのマンガに触れていた。そのような環境で育った安野だからこそ、本当に良いものを現代の子供たちに伝えたいという使命感があったのだ。それが実現できるのが、たまたま少女マンガという“古巣”だったのだ。
現在、少女マンガは特有の閉鎖性故に男性作家がほとんどいない。逆に青年コミックや少年マンガには女性の進出は既に定着しつつある。ジャンルの幅を軽々と飛び越えるマンガ家は今や女性のほうだ。かつて超えられなかった壁があったからこそ、「ここで描きたい」という思いがより強いのは女性の方であろう。
1960年代、非少女マンガの唯一の発信場所であったマニア系雑誌『ガロ』は、70年代に一度は衰退するも根強いファンの存在もあり80年代から巻き返した。内田春菊や桜沢エリカなども掲載されており、休刊直前まで投稿が止まないマンガ家志望者の憧れであった。しかし、97年経営悪化と社内分裂によって休刊し、さらに元社員が青林社に対して「青林工藝舎」を設立して『ガロ』の後継を称し、隔月刊漫画雑誌『アックス』(AX)を発行した。現在では、この問題も落ち着き、『アックス』そのものも発行されている(2007年12月現在)。
80年代以降、マニア誌に代ってヤング誌やヤングレディス誌などで女性作家が登場する機会が頻繁に増えるが、そこでのマンガは『ガロ』が掲載していた天才肌の文学系マンガとは違って、親しみやすい恋愛モノやギャグが多い。新しいジャンルが開拓されてもマンガ好きのマンガを載せるために『ガロ』は必要だったのだ。
それが、90年代以降から徐々に崩れる。例えば、ヤング誌の兄弟誌。文学的要素など“マニアック度”は『ガロ』よりは劣るが、ターゲットを詳細に絞った結果、王道のヤング誌よりもマンガ好きに好まれるラインナップが揃っている。
“マニア誌”である基準はとても曖昧ではあるが、イメージとしては「コンビニや駅の売店で必ずしも買えない雑誌」というところである。つまり、ちゃんと書店に行かねば買えない雑誌、本当のマンガ好きがわざわざ本屋にまで行って買うような雑誌をここでは指している。『STUDIO VOICE』2006年9月号の「コミック誌(ほとんど)全レビュー!」という特集では“マニア系”・“サブカル系”雑誌として11誌が紹介されているが、ほとんどが90年代以降の創刊である。
90年代以降のジャンルを図示すると以下のようになる。
| 創刊年 | タイトル | 出版社 |
|---|---|---|
| 85 | ビジネスジャンプ | 集英社 |
| 85 | スーパージャンプ | 集英社 |
| 86 | アフタヌーン | 講談社 |
| 91 | フィールヤング | 祥伝社 |
| 93 | ヤングキングアワーズ | 少年画報社 |
| 94 | 少年エース | 角川書店 |
| 95 | コミックビーム | エンターブレイン |
| 95 | オールマン | 集英社 |
| 96 | コミックキュー | イーストプレス |
| 97 | アックス | 青林工藝舎 |
| 99 | コミックフラッパー | メディアファクトリー |
| 99 | ウルトラジャンプ | 集英社 |
| 00 | 月刊サンデーGX | 小学館 |
| 01 | マンガ・エロティックF | 太田出版 |
| 01 | イブニング | 講談社 |
| 03 | 月刊IKKI | 小学館 |
| 06 | コミックファウスト | 講談社 |
| 06 | モーニングツー | 講談社 |
| 06 | Beth(ベス) | 講談社 |
このように、ヤング誌の兄弟誌や三大出版社以外のマンガ雑誌が増えることによって、マニアックなマンガの居場所はある程度確保されたと言えるだろう。特に、『マンガ・エロティックF』や『Beth(ベス)』は、女性向けの内容で女性作家が全作品の大半を占めるような雑誌となっている。
かつての『ガロ』が請け負っていた“マニアックだけれども時代の先端を行くマンガ雑誌”という役割は、このように多くのマンガ雑誌が引き継いだ。勿論、少女マンガでない女性が活躍できる唯一の場という役割もここで終えたのだ。
まず「ガンガン」系とは、スクエア・エニックス、マッグガーデン、一迅社が発行しているコミック誌を指す。 マッグガーデン、一迅社ともに元スクエア・エニックスの社員が立ち上げた会社でエニックスから作家の引き抜きが行われた関係上、作品の傾向が似通っている。スクエア・エニックス(当時エニックス)は、91年『月刊少年ガンガン』を創刊する。ガンガン系の最大の特徴は、ゲームとのクロスメディアである。ゲーム制作会社でもあるエニックスが、自社の看板商品である「ドラゴンクエスト」のコミック化を90年から初め、そのなかには同人活動をしていた柴田亜美ら女性作家が起用される。読者層は男女半々、女性作家も比較的多い。ただし、ガンガン系作家は荒川弘、峰倉かずや、金田一蓮十郎などペンネームだけでは女性とはわからない名前が多い。また、読者層が流動的なことも含め、ガンガン系は「少女マンガ」、「少年マンガ」の枠組みからはずれていると伊藤は指摘している。 それに対し、「少年」と「青年」の枠組みに関しては04年創刊のスクエア・エニックス『ヤングガンガン』があるので差別化されていると一応はいえる。しかし『少年ガンガン』以外は特に雑誌名に“少年”と冠することをしていない点、もはや枠組みが無効になりつつあると言える。
| 開始年 | 作家名 | 作品 | 掲載雑誌 | 他の代表作 |
|---|---|---|---|---|
| 91 | 柴田亜美 | 南国少年パプワくん | 月刊少年ガンガン | PAPUWA |
| 93 | 峰倉かずや | JUST!! | COMIC Genki | 最遊記 |
| 94 | 高河ゆん | 超獣伝説ゲシュタルト | Gファンタジー | LOVELESS |
| 01 | 荒川弘 | 鋼の錬金術師 | 月刊少年ガンガン | 獣神演武 |
| 05 | 金田一蓮十郎 | ニコイチ | ヤングガンガン | ハレグゥ |
| 05 | 高津カリノ | WORKING! | ヤングガンガン | ――― |
最後に、同人系について触れておく。ガンガン系もゲームアンソロジーコミックを発売していたこともあり、同人出身者が大変多いが、93年に『b-BOY』の創刊が同人系作家を多く世に送り出すきっかけとなる。『b-BOY』の創刊以後、BLが急成長し、BL系の作家の大半は、商業誌デビューをする前に2次創作活動をしている。実は、70年代のコミックマーケット(コミケ)以来、プロデビュー前に同人誌を作っている作家はBL作家以外でもかなり多く、高橋留美子も初期のコミケに参加していた。現在ではコミケでスカウトされることも多く、中には高河、CLAMP、よしなが、羽海野のように商業誌で成功するほどの実力者も現れる。
| 開始年 | 作家名 | 作品 | 掲載雑誌 | 他の代表作 |
|---|---|---|---|---|
| 96 | 日本橋ヨヲコ | ノイズ・キャンセラー | ヤングマガジン | G戦場ヘヴンズドア |
| 97 | 浅田寅ヲ(エム・エイ名義) | SPOONMAN3.18 | アフタヌーン | パイドパイパー |
| 97 | 志村貴子 | 敷居の十人 | ビームコミックス | 青い花 |
| 99 | 朔ユキ蔵 | 夢のような | メディアアックス | つゆダク |
| 01 | CLAMP | ちょびっツ | ヤングマガジン | xxxHoric |
| 03 | オノナツメ | LA QUINTA CAMERA | COMIC SEED! | リストランテ・パラディーゾ |
| 07 | よしながふみ | きのう何食べた? | モーニング | 大奥 |
| 07 | 羽海野チカ | 3月のライオン | ヤングアニマル | ハチミツとクローバー |